ラムナン硫酸によるコレステロール低下作用

背景と目的

脂質異常症とは、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や総コレステロールが高すぎたり、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が少なくなったりする病気です。脂質異常症はかつて高脂血症と呼ばれていました。近年、HDLコレステロールの値が高いほうが良いことがわかり、脂質異常症の診断ではLDLコレステロールとHDLコレステロールの比であるLH比を低く保つことが重要であるとされています。脂質異常症は動脈硬化の進行を早め、心筋梗塞や脳卒中などの病気の原因となる事があるので、これらの疾患を予防するためにLH比を低く保つことが重要です。ラムナン硫酸の摂取により血液中の脂質にどのような影響があるか調べました。

検討方法

対象被験者は、肝障害または腎障害の疑いがなく、脂質系への影響が疑われる薬物およびサプリメントを服用していない男性60名から投与開始1週間前に採血を行い、血中コレステロール値の高めの16名を選出しました。6 週間ラムナン硫酸を毎朝食後30 分以内に3 g摂取させました。採血は摂取開始日摂取前、摂取開始2、4および6週目に行い、これらのヒトの血液を用いて血液中の脂質測定を行いました。

結果

血清総コレステロール及びLDLコレステロールが時間依存的に低下し、ラムナン硫酸の摂取6週間後では摂取前と比較しての有意な低下が認められました。しかし、ラムナン硫酸を飲み続けてもHDLコレステロールには変化を与えませんでした。

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まとめ

ラムナン硫酸は総コレステロール、LDLコレステロールを低下させ、HDLコレステロールには影響せず、LH比を改善する作用を持つ有用な食品成分であることがわかりました。

(データ:正常高値および軽症高コレステロール血症者における食用海藻ヒトエグサ抽出硫酸多糖類の血中コレステロールにおよぼす影響:西川政勝、三井雅之、梅田幸嗣、北岡義国、高橋好枝、田中茂男、新薬と臨床、Vol.55 No.11 2006 p.95-102 )